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かるまる池袋

息を呑むような人の波、耳を覆いたくなる雑踏の音、そして目まぐるしく変わる街の表情。池袋という都市の中心で、私たちは日々、自分自身を見失いそうになる。そんな都会の迷宮に、ひっそりと佇む一つの扉がある。その扉の向こうには、時が緩やかに流れ、心と体が本来の自分を取り戻せる神秘的な空間が広がっている——「かるまる池袋」。

「人間回帰」と「自分の居場所」。この二つの言葉に込められた哲学が、かるまる池袋の本質を表している。都会に生きる私たちが、忘れかけていた本来の姿に立ち返り、心から安らげる場所を求めて辿り着くのは、この静謐なる楽園なのだ。

扉を開けば、まるで異次元へと足を踏み入れたかのような錯覚に包まれる。そこには四種類の個性豊かなサウナが、まるで四季のように訪れる者を迎え入れる。「岩サウナ」では、日本の三大花崗岩「庵治石」の温もりが体を包み込み、時折響くオートロウリュの音と共に立ち上る熱気は、日常の疲れを一気に溶かし去る。樹齢200年を超える欧州赤松の「ケロサウナ」は、「木の宝石」とも呼ばれる素材から放たれる芳醇な香りが、心を森の深みへと誘う。

伊吹山の貴重な薬草が煮立つ「蒸サウナ」では、古より伝わる日本の知恵が、現代を生きる体に新たな命を吹き込む。そして、都内では稀有な存在である「薪サウナ」。火が燃えるパチパチという音と香りが、忙しなく過ぎる日々を忘れさせ、原始的な安らぎへと導いてくれる。

熱さで満たされた体を、四種の水風呂が待ち受ける。中でも「サンダートルネード」は、10℃未満という衝撃的な冷たさと強力な水流が、熱と冷のコントラストという究極の快感を与えてくれる。また、アクリルで作られた「アクリルアヴァント」は、まるで水中に浮かぶような不思議な感覚を味わわせる、現実と非現実の境界線に立つ体験だ。

ここでの体験は、単なる温冷浴の繰り返しではない。それは都会という戦場から離れ、自分自身と向き合う瞑想的な時間でもある。サウナの扉を閉めれば、そこには自分だけの宇宙が広がり、水風呂に身を沈めれば、生まれ変わるような鮮烈な感覚が全身を駆け巡る。

疲れた体をさらに癒すのは、本格的な和食とボリューム満点の「サウナ飯」。素材にこだわった料理は、サウナで研ぎ澄まされた感覚を満たし、新たな活力を与えてくれる。食後は、特製テレビ付きリクライニングチェアや、漫画・雑誌が読み放題の休憩スペースで、束の間の逃避行を楽しむことができる。

もし一日では足りないと感じるなら、宿泊という選択肢も。清潔で快適なカプセルタイプから、より贅沢なホテルタイプまで、自分のペースで施設を堪能できる環境が整っている。朝は豚汁などの朝食で一日の始まりを心地よく迎えることができる。

驚くべきことに、この極上の癒し空間は、池袋駅西口C6出口から徒歩わずか30秒という好立地にある。都会の喧騒から一瞬で別世界へと誘ってくれる、まさに都市における隠れ家のような存在だ。

かるまる池袋でのひとときは、単なるリラクゼーションを超えた、魂の洗濯とも言える体験である。熱と冷、明と暗、緊張と弛緩のコントラストが、日常に疲れた心と体に新しいリズムを刻み、明日への活力を呼び覚ます。

都会に生きる私たちが失いかけていた感覚——自然との一体感、自分自身との対話、そして深い安らぎ。それらを取り戻す旅に出るなら、かるまる池袋こそが、その扉を開ける鍵となるだろう。喧騒の海に浮かぶ静寂の島、かるまる池袋で、あなただけの癒しの物語が始まるのを待っている。

文・一順二(にのまえ じゅんじ)

一順二(にのまえじゅんじ)
猫のロキ
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